ブダペストへ夜行列車を利用して行ってきました。①ユーロナイト乗車編
2022年6月初旬にハンガリーの首都ブダペストに夜行列車に乗って行ってきました。
多くの西ヨーロッパ諸国では、キリスト教関連の祝日があり、全ての国を詳しく調べたわけではないですが、だいたい同じようなときに連休となります。ということは、だいたいその連休期間中は、有名どころの観光地は、ホテル・フライト等がめちゃくちゃ高騰してしまいます。特にこのコロナ明けの旅行熱の高まりと、夏が近づき気候もよくなっていることから、特に西ヨーロッパ諸国の有名観光地では、ホテルは1泊400ユーロ、500ユーロといった、私のような庶民には手が出せないようなところしか残っていないという状況となってしまいます。ヨーロッパの方は、早目早目に、とにかく行くかわからないけど、まずは予約する、みたいな感じになっているようです。
私は、というと、やっぱり日本人ですね。仕事の予定がわからないとなかなか先の予定も立てられないという、仕事優先の悲しい性のためか、出遅れてしまいました。ヨーロッパでは連休といえども、キリスト教関係ない日本は平日。出張や重要な会議の予定が入るかも知れないですしね。もしそうなったときに、旅行に行くので休みます、とはやはり言いにくくて。その結果、出遅れてしまいます。つくづく平均的な日本人です。けど、連休が近づき、周りが浮かれ始めるのを見ると、やはりどこかに行きたくなります。
そういったときに、おすすめなのが、チェコやハンガリーといった東欧(分け方によっては中欧?)です。もちろん、高級ホテルはそれなりにしますが、まあまあのホテルであれば、同じ時期に100~200ユーロくらいで済みます。まだまだ物価は安いです。
ということで、6月初旬の連休シーズンに、ブダペストに行ってまいりました。連休なのに、結局金曜の夜にスイスを出発して(夜行列車利用)、日曜夜のフライトで戻ってくるという弾丸ぶりです。
その弾丸ツアーの体験記をお伝えしたいと思います。
この記事の対象者は、
ブダペストに行ってみたいのだけれど、以下のことが気になって、躊躇されている方。
・夜行列車で行ってみたいけど、寝台車両の装備や安全性など、実際のところどうなの?
・実質2日間で、ブダペストの観光名所をどこまで巡ることができるか?
・名物を食べたいんだけど、何を食べたらいい?
・お土産について。カロチャ刺繍とマチョー刺繍の見分け方がよくわからない。
・ブダ側とペスト側、どちらのホテルが観光には便利?
・せっかくなので、夜景を見たいのだけど、ブダ側からペスト側を見るべきか、ペスト側からブダ側を見るべきか。
・ブダペスト市内から空港までの行き方がわからない。
等々
今回は、行きは夜行列車、帰りは飛行機で帰って来るという行程にしました。この夜行列車、チューリヒを夜20:40に出発し、ブダペストには翌朝の10:35に到着予定。14時間もかかります。飛行機で1時間半くらいしかかからないのに。実際には、夜中にどこかで時間調整したりしてゆっくり走っているようで、本来は14時間もかかる距離ではありません。けど、朝早くに到着されても、困ってしまうので、私にとっては、それでいいんです。
よく人から、電車では何時間かかるの?なんて質問を受けることがあります。14時間と答えると、だいたいの人はえっ?と引かれます。なんで飛行機で行かないの?となります。確かに効率で考えるとそうです。しかも、実は夜行列車はいうほど(後述するSleeper Cabinを選択すると)安くはありません、飛行機のほうが安かったりもします。それでも、金額や時間の問題ではないんです、単純に夜行列車に乗ってみたいという気持ち。わかる人にはわかってもらえれば嬉しいです。
しかも、Sleeper Cabinで、個室を選択すれば、本当に快適です。誰にも邪魔されず、フルフラットのベッドで横になっているだけ。しかも、飛行機と違って携帯の電波は通じますので、横になりながら、インターネット見たり、(動画アプリ等を契約していればですが)映画を見たりしていればいいだけです。一応、朝食もつきます。
さて、私が今回利用した夜行列車は、チューリッヒ発ブダペスト行きのユーロナイト40467という列車です。日本では、寝台列車はだいぶ減ってきているようですが、ヨーロッパでは中欧・東欧を中心に、まだまだ根強い人気があります。オーストリア国鉄のOBBが、ナイトジェットというブランドネームで、ヨーロッパ各地の夜行列車を運行しています。オーストリア国鉄なのに、チューリッヒ⇔アムステルダム等のように、オーストリアを全く経由しない列車も走らせたりもしています。ナイトジェットを語るうえで、あまりオーストリアという国を意識しなくてもいいと思います。そして、ナイトジェットは、自身のブランドネームをつけた系統以外にも、ユーロナイトという夜行列車もナイトジェットパートナーとして管轄しているようです。ユーロナイトは、どちらかというと、ポーランドやチェコ、ハンガリー、クロアチアといった、中欧から東欧を中心に走っているイメージで、車両はちょっと古い感じです。まあ、ネーミングはあまり気にしなくてよくて、ナイトジェットの名がついていたら、オーストリア国鉄の比較的きれいな車両(なかには2階建ての寝台もある)だな、ユーロナイトはちょっと古いぞ、くらいの感覚でいいと思います。
そして、予約方法ですが、無難なのは、OBBのホームページから。例えば、今回のチューリッヒ発ブダペスト行き。普通に考えたら、出発であるスイス国鉄のHPか、到着地であるハンガリー国鉄のHPということなのかも知れないですが、前述したとおり、管轄はオーストリア国鉄なので、オーストリア国鉄HPからも購入できます(実際には、ドイツ国鉄HPからも買えます。)これらのうち、スイス国鉄HPからは、見てみたところ、若干高めで、かつ予約が即確定ではない感じだった(まずはリクエストを出すという感じで、たぶんシステム連携が整っていないかも?しかも空席見るだけなのに、いちいち誕生日やら個人情報を入れる必要があるので手間)ので、除外。オーストリア国鉄とハンガリー国鉄は、価格も全く同じで、後で購入後にわかったのですが、購入後、もう片方のHPでは、売り切れがちゃんと即時反映されたので、システムは完全に連携しているようで、どちらで買っても同じです。となれば、使いやすいほうでいいのですが、ハンガリー国鉄HPは、英語を選択しても、一部ハンガリー語が残ってしまっているようで、結局オーストリア国鉄で買うのがいいと思いました。
ちなみに、以前チューリッヒ⇒プラハの夜行列車を購入したときは、オーストリア国鉄HPよりも、チェコ国鉄HPのほうが安かったです。この点は、もう少し分析が必要そうです。
夜行列車の車両には、まず大きく3種類。Seat、Couchette、Sleeper Cabinがあり、Seatが一番安く、Sleeper Cabinが一番高くなります。Sleeper Cabinは、予約時に何名用の部屋にするのか(1~3名のうち)を聞いてきて、もちろん1名(つまり完全プライベート)にするのが一番高いです。私、昔に1名用が空いていなくて、他の人と相部屋のような形になったことがあるのですが、やはり海外ですので、貴重品とかが心配で、よく眠れなかったことがあります。できれば安全性の観点からも、1名で利用するSleeper Cabinがおすすめです。結局ケチって、その結果、あまり寝れなくて、翌日に影響出たら余計高くつくと思いますし、ここは積極的にお金の使いどころということだと思います。今回、私はこちらの1名用のSleeper Cabinを予約しました。
また、今回利用するチューリッヒ・ブダペスト路線には、1等・2等の区別がなく、すべて2等扱いですが、この1等・2等の違いは、部屋にシャワー・トイレがついているかついていないか、の違いです。今回は、1等車両が存在しない系統なので、2等、つまりシャワー・トイレ無しを予約しました。というか、少なくとも行きは家でシャワーを浴びてから出かけますので、元々シャワーは不要ですし、トイレも共用でちゃんとありますので、仮に1等がある系統でも、2等で十分と私は思います。
これで、私は199ユーロで予約しました。これは、早割とかでは無く、通常料金です。決して、安くはないですよね、飛行機のほうが安いくらいです。なんで飛行機で行かないの?と言ってきた人たちから、「夜行列車で行くなんて、なんてケチなやつだ」と思われてるかもしれないですが、これで一矢報いることができた、かもしれません。
予約完了したら、すぐにメールでQRコードがついているeチケットが送られてきます。ハンガリー国鉄HPで買うインターナショナル列車は、予約番号だけ送られてきて、駅でチケットに交換、というような話も聞いたことがありましたが、そのようなことは一切心配無用で、このオーストリア国鉄から送られてくるeチケットを印刷して持っていけば、問題なく乗車できます。
さて、当日。ここからが、乗車体験記です。
チューリッヒ中央駅にて。20:40のウィーン、プラハ、ブダペスト行きがそうです。ヨーロッパの夜行列車は、このように、複数の行き先の列車が途中まで一緒に連結されて走るのが普通です。逆に、途中駅で、他の都市から来た列車を連結したりもします。そのため、夜中に、他の列車待ちのため、長い時間停車していることもあります。

該当ホームに行くと、行先がウィーンしか書かれていませんが、大丈夫です。この列車は途中からわかれて、それぞれプラハへもブダペストへも行く列車です。ウィーン行きはナイトジェットなので、代表してNJと書かれていますね。

入線してきました。まずはオーストリア国鉄の車両です。チューリッヒ中央駅はどん詰まり型の駅なので、これが一番後ろ側ということです。ウィーン行きの部分です。2階建ての寝台車両です。いつかこの2階部分、乗ってみたいなあとか思いをはせながら、どんどん前へ歩いてみます。

続いては、ハンガリー国鉄車両です。これはブダペスト行きです。

一番前には、チェコ国鉄車両です。プラハ行きです。チェコ車両は一両だけでした。

ひと通り、ホームをうろうろした後、ハンガリー車両に乗り込みます。車両のドア付近で、切符のチェックはされます。検札というよりは、この車両で合ってるかチェックしてくれる感じです。

ハンガリー国鉄車両、外見よりは、意外ときれいでした。片側に通路があり、上の写真で言うと、左側にコンパートメントが並んでいます。ここはSleeper Cabinの車両なので、基本的にはすべて同じ構造の部屋が並んでいます(1等、2等の区別はないのですべて同じということです)。
チケットには、私のベッド番号は51と書かれれていますので、早速行ってみます。

見つけました、51。しかし、53と55も書かれている、個室にしたはずなのに。と早合点しないでください。これは合っています。なぜかというと、基本すべて同じ構造の部屋、と先ほど言いました。基本は、1部屋に3ベッドが備えられているということです。そのうち、何人使うのかによって、2段目と3段目のベッドを収納するかどうか決めるという形になっています。ですので、デフォルト値は、51、53、55の3つでいいのです。実際に中に入ってみると、確かに2段目と3段目が収納されていて、ちゃんと1人仕様になっています。これが、もし2名で予約したら、2段ベッドになるんでしょうね。

広さは、足元がスーツケースを広げられるくらいあります。私にとってはこれで十分な広さです。
このテーブルのようなもの。蓋を開けると、なかに洗面台があります。寝る前に外に出なくても歯磨きができますし、朝も顔くらいなら洗えます。


洗面台の上には、サービスのドリンクもあります。たいしたものはないですが、ありがたいです。

それから、ベッドの上に、朝ご飯の選択リストが置いてあります。リストのなかから、7つ選んでいいようです。7つチェックマークをつけて、車掌さんに渡します。リストは置いてあるのに、ペンは置いていません。言えば貸してくれるんでしょうけど、あらかじめペンを持っていくことをお勧めします。一番右が英語ですので、右の中から7つ選択します。元々マジックで塗りつぶされているのは、品切れということだと思います。チェックできなくなっています。

そうこうしているうちに、出発しました。しばらくすると、車掌さんが回ってきます。まずはチケットの確認です。印刷済みチケットを渡すと、一旦預かられてしまい、翌朝到着間近に、持ってきてくれるという流れになります。なので、おそらく紙に印刷して持っていくのは必須なんだと思います。印刷ついでに、2枚印刷しておけば、預かられたときに、向こうが無くしたときの対策にはなると思います。そんなことはまずないとは思いますが、一応、海外でのリスク管理の一環です。
このとき、車掌さんに、朝ご飯の選択リストを渡します。そうすると、何時にする?と聞かれます。これは、以前チェコの夜行列車に乗ったときは聞かれませんでした。意外とハンガリー、サービスいいかも、と少し見直しました。
そして、鍵の説明をしてくれます。中から鍵をかけることはもちろんなのですが、トイレ等で外に出るときは、この下の写真の左上にあるカードキーのようなものを使って、外から鍵をかける仕組みです。セキュリティ面は、何にも問題ありません。

部屋の電気も、温度調整も自分でできるようになっています。

そうこうしているうちに、列車はオーストリアに入り、夜も更けていきます。さすがに私も、金曜の仕事終わり、しばらくスマホでテレビ番組を見ていたら、疲れてそのまま寝てしまいました。あ、隣の部屋との壁は薄そうですので、スマホでテレビ見る際には、イヤホンを持って行ったほうがいいです。夜中にテレビの音を出していると、クレームが来るかもしれないですし。
目が覚めたら、ウィーン中央駅に停車中でした。このブダペスト行きも、結局ウィーンを通るんですね。ここで、ウィーン行きの車両を切り離すんでしょうか。

朝ご飯が支給されました。ここはレストランではありません、夜行列車内です。まあ、こんなもんでしょう、という割り切りも大切です。

ご飯も食べ終わり、いよいよブタペストに到着です。列車は、Budapest-Keleti駅に到着します。ブダペスト東駅という意味です。
10時50分頃、やたらと荘厳な駅に到着しました。

このあと、駅構内にある両替所(突き当り右のほう)で、ハンガリーフォリントに換金して、いよいよブダペストの街に向かいます。
2.ブダペスト観光編(仮称)に続く。